
アウロノカラ・バエンシは、東アフリカのマラウィ湖に生息する固有種のピーコックシクリッドで、成熟したオスが全身をまばゆい黄金色に染め上げることから「イエローピーコック」「サンシャインピーコック」の名で世界中のアクアリストに愛されています。頭部から鰓蓋にかけて走るメタリックブルーのラインと、黄色い体色のコントラストはマラウィ湖産シクリッドの中でも際立って華やかです。
種小名の「baenschi」は、ドイツの観賞魚飼料メーカー・テトラ社の創業者であるウルリッヒ・ベンシュ博士にちなんで名付けられました。マラウィ湖の中でもンコモ・リーフ(ベンガ)周辺のごく限られた岩礁域にしか生息しておらず、分布域が極端に狭いことから、IUCNレッドリストでは近絶滅種(CR)に指定されています。野生個体の輸出はほとんど行われておらず、現在流通しているのはほぼすべて養殖個体です。
岩場と砂地が接する水深10〜20mほどの中層に暮らし、発達した頭部の側線器官で砂中の小さな生き物を感知して捕食します。繁殖はメスが卵と稚魚を口の中で守るマウスブルーダー型で、水槽内でもその様子を観察できます。アウロノカラ属の中でも特におとなしく、体のサイズも比較的小ぶりなため、アフリカンシクリッドを初めて飼育する方にも扱いやすい種類です。
近絶滅 / 深刻な危機
Critically Endangered(CR)
ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い状態
成魚でもオス11〜13cm、メス8〜10cmほどとアウロノカラ属の中では小型ですが、遊泳力が高く活発に泳ぎ回るため、オス1匹とメス3〜4匹のハーレム飼育で90cm水槽(約160L)以上を用意しましょう。他のマラウィ湖産シクリッドと混泳させる場合は120cm以上の水槽が安心です。底床にはサンゴ砂やアラゴナイトサンドなど弱アルカリ性の硬水を維持できるものを敷き、ライブロック風の岩組みで複数の隠れ家を作ってあげてください。本種は砂地で餌を探す習性があるので、岩組みは背面寄りにまとめ、前面には開けた砂地を確保するとよいでしょう。流木やソイルは水を酸性に傾けるため使用を避け、ろ過は水量に対して余裕のある外部式か上部式を選びます。
自然下では砂中の小型甲殻類や昆虫の幼虫を捕食する肉食寄りの雑食性です。飼育下ではアフリカンシクリッド用の人工飼料を主食とし、沈下性の顆粒やペレットを選ぶと砂地をついばむ本来の採餌行動が見られます。黄色の発色を鮮やかに保つには、カロテノイドやスピルリナ、アスタキサンチンを含む色揚げ用フードを取り入れるのが効果的です。冷凍ブラインシュリンプやミジンコ、少量の冷凍赤虫を週2〜3回与えると体力がつき繁殖にも好影響があります。ただし脂肪分の多い餌の与えすぎや、植物食性のムブナ向けフードだけに偏った給餌は消化不良(ブロート)の原因になるため、1日1〜2回、2〜3分で食べ切れる量を目安にバランスよく与えましょう。
アウロノカラ属の中でも特に温和で、同じ中層を泳ぐおとなしい「ハップ(Haplochromine)」系のシクリッド、たとえばコパディクロミスやプラキドクロミス、プロトメラスなどとは相性が良好です。一方で気性の荒いムブナやメラノクロミス、ラビドクロミスとの混泳は、追い回されて発色が落ちたり餌が食べられなくなるため避けましょう。同種のオス同士は激しい縄張り争いをするので、1本の水槽にオスは1匹が基本です。また本種はアウロノカラ・スチュアートグランティなど他のアウロノカラ属と容易に交雑し、純血の系統が失われてしまいます。希少種である本種の血統を守るためにも、アウロノカラ属は1水槽に1種のみとするのが鉄則です。水質の好みが正反対になる南米産シクリッドやカラシンなど、弱酸性を好む魚との混泳は適しません。
pH7.8〜8.6の弱アルカリ性・硬水を安定して維持することが最も重要です。サンゴ砂やアフリカンシクリッド用のバッファー剤を活用し、換水時にpHが急変しないよう新水の水質を合わせてから注水しましょう。
よく食べ、よく汚す魚なので、ろ過能力に余裕のあるフィルターを使い、週1回・1/3程度の換水を習慣にしてください。硝酸塩の蓄積はマラウィシクリッド特有の消化器疾患「ブロート」の引き金になります。
若魚の段階ではオスもメスも地味な体色で、黄色く発色するのは成熟したオスのみです。確実にペアを組みたい場合は複数匹を購入して成長を待ち、発色したオスを1匹残して残りのオスは別水槽へ移すと争いを防げます。
野生では近絶滅種(CR)に指定された希少な魚です。他のアウロノカラ属やピーコック系の改良品種と混泳させると交雑してしまうため、単独種で飼育し、純粋な血統を次の世代につなぐことを意識しましょう。
メスは産卵後、卵と稚魚を3〜4週間ほど口の中で保護し、その間はほとんど餌を食べません。稚魚を確保したい場合は、親魚が落ち着いてから隔離ケースや別水槽にそっと移してあげましょう。

パロットファイヤー(blood-parrot)
Amphilophus citrinellus × Vieja melanurus

ファイヤーマウス(firemouth-cichlid)
Thorichthys meeki

ジャガーシクリッド(jaguar-cichlid)
Parachromis managuensis

サタノペルカ・ダエモン(satanoperca-daemon)
Satanoperca daemon

クレニキクラ・マクロフタルマ(crenicichla-macrophthalma)
Crenicichla macrophthalma

アイスポットシクリッド(eye-spot-cichlid)
Cichla ocellaris

レッドゲオファーガス(redstriped-eartheater)
Geophagus surinamensis

スレッドフィン・アカラ(threadfin-acara)
Acarichthys heckelii

ジュルパリ(demon-eartheater)
Satanoperca jurupari

セベラム(severum)
Heros efasciatus

アウロノカラ・スチュアートグランティ(ピーコックシクリッド)(aulonocara-stuartgranti)
Aulonocara stuartgranti

フラワーホーン(flower-horn)
なし

グリーンテラー(green-terror)
Andinoacara rivulatus

オスカー(oscar)
Astronotus ocellatus

アピストグラマ・ボレリー(umbrella-cichlid)
Apistogramma borellii

エンゼルフィッシュ(angelfish)
Pterophyllum scalare

アルタムエンゼルフィッシュ(altum-angelfish)
Pterophyllum altum

アピストグラマ・ビタエニアータ(banded-dwarf-cichlid)
Apistogramma bitaeniata

アピストグラマ・アガシジィ(agassizis-dwarf-cichlid)
Apistogramma agassizii

アピストグラマ・カカトイデス(cockatoo-dwarf-cichlid)
Apistogramma cacatuoides

ラミレジィ(オランダ・ラミレジィ)(ram-cichlid)
Mikrogeophagus ramirezi

アピストグラマ・トリファスキアータ(three-striped-dwarf-cichlid)
Apistogramma trifasciata

ブルー・アカラ(blue-acara)
Andinoacara pulcher
近絶滅 / 深刻な危機
Critically Endangered(CR)
ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い状態