
ディスカスはシムフィソドン属(Symphysodon)に属する南米シクリッドの総称で、現在は主にヘッケルディスカス(S. discus)、ブラウン・ブルーディスカス(S. aequifasciatus)、グリーンディスカス(S. tarzoo)の3種に分類されます。グリーンディスカス(S. tarzoo)は1959年にライオンズによって記載された後、長らくS. aequifasciatusの亜種として扱われてきましたが、2006年のレディらによるDNA解析でアマゾン西部の集団が独立種であることが示され、現在は最も新しく認められたディスカスの3種目として扱われています。分布はアマゾン川のマナウスより上流(西側)で、ブラジル側ではソリモンエス川と呼ばれる本流、テフェ川、ジュルア川、プルス川、ジャプラ川、さらにペルー・コロンビア領のプトゥマヨ川流域まで広がります。識別点は体側や尻ビレに散りばめられた赤いスポットで、これは他の2種には見られない本種だけの特徴です。地色は緑がかった黄褐色〜ターコイズで、9本の横帯はアエキファスキアータと同じくほぼ均一の太さです。中でもテフェ湖周辺の個体群は全身に赤いスポットが入り、「テフェグリーン」「ロイヤルグリーン」と呼ばれて3種の中でも特に高値で取引されます。
最も懸念が少ない
Least Concern(LC)
絶滅のおそれが低い状態
成魚は14〜18cmとディスカスの中ではやや小柄ですが、群れで落ち着く魚なので5〜6匹での飼育には90cm水槽以上を用意してください。原産地のソリモンエス川水系は泥を含んだホワイトウォーターからテフェ湖のようなクリアウォーターまで多様ですが、共通してpH5.5〜6.5の弱酸性軟水と28〜30℃の高水温です。ワイルド個体が多く流通するため、導入時は水質を原産地に近づけ、安定してから徐々に馴らしていくのが安全です。底砂は敷かないか薄く敷き、流木で隠れ家を作ります。赤いスポットは状態が良いときに最も鮮やかになるため、ろ過を強化し、週2〜3回の水換えで常に清浄な水を保つことが美しさを引き出す鍵です。
雑食性で、冷凍アカムシ、冷凍ブラインシュリンプ、ディスカスハンバーグ、ディスカス用顆粒飼料をよく食べます。ワイルド個体は最初は人工飼料を口にしないことがあるので、冷凍アカムシなど嗜好性の高い餌から始めて徐々に慣らしてください。1日2〜3回、数分で食べきれる量を目安にし、残餌は取り除きます。本種の魅力である赤いスポットを鮮やかにするには、クリルやアスタキサンチンなどカロテノイドを含む色揚げ飼料を取り入れると効果的です。ただし色揚げ飼料だけに偏らず、バランス良く与えることが健康維持には大切です。
同種での群泳が基本で、5匹以上で飼育すると落ち着きます。性質は温和で、カージナルテトラ、ラミーノーズテトラ、ハチェットフィッシュ、コリドラス、小型プレコなど、高水温と弱酸性の水に適応できる温和な魚と混泳できます。餌を取るのがゆっくりなので、気の強い魚や素早い魚は避けてください。ヘッケルディスカスやアエキファスキアータとの混泳自体は問題ありませんが、容易に交雑するため、テフェグリーンなど産地ごとの特徴を維持したい場合は単独で飼育しましょう。
識別点は「体や尻ビレの赤いスポット」。赤いスポットがあればグリーンディスカス、ないならブラウン・ブルー、太いセンターバーがあればヘッケルです。
2006年に独立種として再認定された、3種の中で最も新しい種です。古い書籍では「S. aequifasciatus aequifasciatus」と記載されていることがあります。
テフェ産の「テフェグリーン」「ロイヤルグリーン」は全身に赤いスポットが入る最高級グレード。産地名を確認して購入しましょう。
赤いスポットは健康状態のバロメーターです。水質が悪化すると色がくすむので、スポットの鮮やかさを水換えの目安にしてください。
ワイルド個体は輸入直後に寄生虫(鞭毛虫など)を持っていることが多いので、しばらくトリートメントタンクで観察してから本水槽に入れると安心です。