
オトシンネグロスは、ブラジル南部からアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイにかけてのラプラタ水系(パラナ川・ウルグアイ川など)に分布する小型のロリカリア科ナマズです。オトシンクルスに近縁なグループで、いわゆる「オトシン」の仲間として流通することも多い種です。学名の「leucofrenatus」は「白い手綱」を意味し、吻端から眼にかけて白い帯状の模様が入ることに由来しています。
全長は4〜5cm程度の小型種で、体は細身の砲弾型、全身が骨質の板(スクート)で覆われています。体色は茶褐色〜灰褐色の地に不規則なまだら模様が入り、尾ビレには黒いバンドが見られます。腹面は白く、底や流木、水草の葉に吸盤状の口で張り付きながら、表面の藻類や微生物を舐め取るようにして食べます。
原産地では比較的流れのある清流の水草帯や岸辺の植物の根元に生息し、オトシンクルスよりもやや低めの水温を好む傾向があります。分布域が広く個体数も安定しているため、IUCNレッドリストでは低懸念(LC)に評価されています。流通量はオトシンクルスほど多くありませんが、コケ取り要員としてだけでなく、落ち着いた模様と愛嬌のある姿から小型水槽の主役としても人気があります。
最も懸念が少ない
Least Concern(LC)
絶滅のおそれが低い状態
最大でも5cm程度の小型種のため、単独や少数なら30cm水槽から飼育できます。ただし群れで落ち着く性質があり、複数匹を安定して飼育するなら45〜60cm水槽が理想的です。水量に余裕があるほど水質が安定し、本種がもっとも苦手とする水質の急変も起きにくくなります。 レイアウトは流木と水草を中心に組み、張り付いて休める面をできるだけ多く用意しましょう。アヌビアスやミクロソリウムのような葉の広い水草、表面がなめらかな流木や丸石があると、藻類を食べる場所と隠れ家の両方になります。底床は細かい砂や小粒のソイルが口を傷つけにくく安心です。 原産地は流れのある清流のため、溶存酸素量が多くやや水流のある環境を好みます。フィルターは外掛けや外部式でしっかりろ過し、エアレーションも併用すると調子が上がります。ロリカリア科の多くに共通して、高水温に弱いため、夏場はファンなどで26℃を超えないように注意してください。
主に藻類や付着する微生物を食べる草食寄りの雑食性です。導入初期は水槽内に生えた茶ゴケや緑藻をよく食べますが、コケだけでは栄養が不足するため、必ず人工飼料を与えてください。植物質のプレコ用またはコリドラス用タブレットを基本に、茹でたホウレンソウやズッキーニ、キュウリなどの野菜も喜んで食べます。 給餌は1日1回、夜間に消灯の直前か直後に与えると、他の魚に横取りされずに食べられます。本種は口が小さく食べるのに時間がかかるため、沈下性で崩れにくい餌を選び、翌朝に残っていたら取り除きましょう。 痩せやすい魚なので、腹部が凹んでいないか日頃から確認してください。水槽導入直後に餌付かず痩せてしまう事例が多いため、購入時には腹がふっくらしている個体を選び、はじめからコケが生えている水槽に導入するのが成功のコツです。
非常に温和で、他の魚にちょっかいを出すことはまずありません。同種間での争いもほとんどなく、むしろ複数匹で飼育したほうが落ち着いて餌を食べるようになります。3〜6匹程度の群れで迎え入れるのがおすすめです。 混泳相手は、同じく温和で小型の魚が適しています。小型テトラやラスボラ、コリドラス、小型のラミレジィ、エビ類などとの相性は抜群です。水温帯が近い種を選ぶと管理がしやすく、オトシンクルスやコリドラスとはほぼ同じ環境で飼育できます。 一方で、エンゼルフィッシュやグラミーの大型種、気性の荒いシクリッド、大型のプレコなどとの混泳は、餌が行き渡らなかったり追い回されたりするため避けてください。また、水草を食べる魚ではないため、水草水槽でも安心して導入できます。
オトシンクルスよりもやや低水温を好む種です。20〜24℃前後で安定させると調子が良く、夏場の高水温対策がとくに重要です。
導入初期の餓死がもっとも多い失敗です。購入時は腹がふっくらした個体を選び、コケが生えている水槽に入れるか、すぐに植物質のタブレットを与えてください。
吻端から眼にかけて走る白い「手綱」模様が名前の由来です。体調が良いと模様がくっきりと浮き出るので、健康状態のバロメーターになります。
張り付いて休む場所が多いほど落ち着きます。葉の広い水草や表面のなめらかな流木を多めに入れると、本来の行動が観察しやすくなります。
水質の急変に弱いため、水換えは一度に1/4〜1/3程度にとどめ、水温を合わせた水を使ってください。薬浴も規定量の半分から様子を見るのが安全です。
群れで飼育すると餌を食べる時間が長くなり、繁殖も狙えます。水草や流木の表面に産卵し、稚魚は細かい藻類やインフゾリアで育てることができます。
最も懸念が少ない
Least Concern(LC)
絶滅のおそれが低い状態