
ヨロイナマズは、コリドラスと同じカリクティス科に属する中型のナマズで、英名では「ブラウンホプロ」や「アーマードキャットフィッシュ」と呼ばれます。体側を覆う2列の硬い骨板(鱗板)が特徴で、名前の「Hoplosternum」はギリシャ語で「武装した胸」を意味します。体色は地味な褐色〜暗褐色で、幼魚期には不規則な暗色斑が入ることもあります。成魚は20cm前後まで成長し、コリドラスを大きくしたようなどっしりとした体型になります。
本種の最大の特徴は、腸呼吸によって空気中の酸素を直接取り込めることです。酸素の乏しい沼地や氾濫原の止水域でも生きられるため、野生では水面に上がって空気を吸う姿が頻繁に観察されます。また繁殖期のオスは胸ビレの第1棘条が太く長く伸び、先端がオレンジ〜赤色に染まる、いわゆる「泡巣」を水面の植物の下に作って卵を守るという、ナマズとしては珍しい繁殖行動を見せます。
分布はオリノコ川、アマゾン川、パラナ川流域のほか、ギアナ地方やトリニダード島まで南米の広い範囲におよび、ベネズエラやトリニダードでは食用にもされています。アメリカ・フロリダ州には人為的に持ち込まれて定着しています。広域に分布し個体数も多いことから、IUCNレッドリストでは軽度懸念(LC)に評価されています。丈夫で飼いやすく、底層をせっせと掃除する姿がユーモラスな、初心者にもおすすめの大型コリドラスの仲間です。
最も懸念が少ない
Least Concern(LC)
絶滅のおそれが低い状態
成魚は20cm前後まで成長するため、単独飼育でも60cm水槽、複数飼育や混泳を考えるなら90cm以上の水槽を用意してください。底層を活発に動き回り、砂を掘り返して餌を探すため、底面積の広い水槽が適しています。 底床は口元のヒゲを傷めないよう、角のない細かい砂(田砂やボトムサンドなど)がおすすめです。砂に口を突っ込んで餌を探す習性があるため、粒の粗い砂利は避けてください。レイアウトには流木や大きめの石、浮き草などを配置し、休憩できる物陰を作ってあげましょう。水草は根を掘り返されることがあるため、流木に活着させるタイプや丈夫な種類を選ぶと安心です。 腸呼吸をするため、水面まで上がって空気を吸えるように水面の一部を開けておき、フタは必ず設置してください。驚いたときに勢いよく水面に上がり、飛び出し事故を起こすことがあります。ろ過は外部式か上部式が適しています。水質にはうるさくなく、18〜28℃と幅広い水温に対応しますが、急激な変化は避け、週1回1/3程度の水換えを行ってください。
野生下では底層の昆虫幼虫、甲殻類、有機物などを砂ごと吸い込んで食べる雑食性です。飼育下では沈下性のナマズ用タブレット、コリドラス用フード、プレコ用フードなどを主食にし、何でもよく食べてくれます。 副食として冷凍赤虫、イトメ、ブラインシュリンプなどの動物質を与えると喜びます。体が大きいぶん食欲も旺盛なので、コリドラスと同じ感覚で与えると量が足りないことがあります。腹部がふっくらしているかを確認しながら、1日1〜2回、数分で食べきれる量を与えてください。 夜行性の傾向があるため、照明を消したあとに餌を入れると落ち着いて食べます。混泳水槽では上層の魚に餌を横取りされないよう、沈みの早い餌を選ぶか、消灯後に与える工夫をしてください。食べ残しは水質悪化につながるため、翌朝には取り除きましょう。
性格は温和で、他魚を襲うことはほとんどありません。ただし口に入る大きさの小型魚や稚魚、小型のエビは捕食される可能性があるため、極端に小さな生体との混泳は避けてください。同種同士でも争いは少なく、複数飼育も可能です。 混泳相手としては、中型のカラシン類(コンゴテトラ、ブラックテトラなど)、レインボーフィッシュ、ジオファーガスやセベラムなどの温和なシクリッド、大型のラスボラなど、中層〜上層を泳ぐ中型魚が適しています。同じ底層でもプレコ類とは餌の取り合いになりにくく相性は良好です。 繁殖期のオスは泡巣の周囲で縄張り意識が強くなり、近づく魚を追い払うことがあります。また本種は底床を活発に掘り返すため、繊細な水草レイアウト水槽や、きれいな水を好む神経質な魚との相性はやや悪いです。気性の荒い大型シクリッドとの混泳は、硬い骨板で身を守れるとはいえストレスになるため避けてください。
腸呼吸をするため水面に上がって空気を吸います。これは正常な行動ですが、頻度が極端に増えたときは水中の酸素不足や水質悪化を疑ってください。
飛び出し事故が多い魚です。水面に上がる勢いでフタの隙間から飛び出すことがあるので、フタは隙間なく設置しましょう。
底床は角のない細かい砂を選び、ヒゲを傷めないようにしてください。ヒゲが溶けている個体は底床の汚れや水質悪化が原因であることが多いです。
食欲旺盛なので、コリドラス感覚の餌量では不足しがちです。腹部のふくらみを目安にしっかり与えてください。
オスは繁殖期に胸ビレの棘条が太くオレンジ色に染まります。泡巣を作り始めたら、水面に浮き草や浮かべた発泡スチロール片を用意すると産卵しやすくなります。
18℃程度の低水温にも耐える丈夫な魚ですが、急な水温変化には弱いため、水換え時の温度合わせは丁寧に行ってください。