
ティンフォイルバルブは、タイのチャオプラヤ川やメコン川流域、マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島など東南アジアの大河に広く分布する大型のコイ科熱帯魚です。名前の由来となった「ティンフォイル(錫箔)」のように全身が銀白色に輝き、尾ビレ・背ビレ・尻ビレ・腹ビレがオレンジから赤に染まり、尾ビレの両葉には黒い縁取りが入ります。背ビレの先端が黒く縁取られるのも特徴で、水槽内で群れが一斉に向きを変える瞬間は圧巻の美しさです。
幼魚は3〜5cmほどの可愛らしいサイズで安価に販売されていますが、成長が非常に早く、自然下では35cm前後まで成長します。水槽内でも25〜30cmに達するため、小型魚と同じ感覚で購入すると数年で手に負えなくなるケースが後を絶ちません。アルビノやゴールデンなどの改良品種も流通しています。
丈夫で水質への適応力が高く、人工飼料もよく食べるため、飼育そのものは難しくありません。しかし、その最終サイズと遊泳力から長期的に飼い続けるには大型水槽が必須です。オスカーやポリプテルス、大型プレコなどを飼育する「大型魚水槽」の遊泳層を彩る中層魚として高い人気があります。
最も懸念が少ない
Least Concern(LC)
絶滅のおそれが低い状態
最終的に30cm前後まで成長し、しかも遊泳力が非常に高い魚のため、単独でも最低120cm水槽、群れで飼育するなら150cm以上の水槽が必要です。幼魚のうちは60cm水槽でも飼育できますが、1年ほどで15cmを超えてくるため、最初から将来の水槽を見据えた計画を立ててから迎え入れましょう。 中層を広く泳ぎ回る魚なので、レイアウトは水槽の中央をできるだけ空け、流木や石は背面と左右に寄せるのが基本です。水草は食べられてしまうため、本格的な水草レイアウトとの両立はほぼ不可能と考えてください。大量に食べて大量に排泄するためろ過能力は重要で、外部フィルターとオーバーフローの併用や大型の上部フィルターなど、水量に対して余裕のあるろ過を用意しましょう。 驚くと猛スピードで突進し、水槽から飛び出したりガラス面に衝突したりする事故が多い魚です。フタは重量のあるものを隙間なく設置し、水槽周辺で急に動いたり照明を突然点けたりしないよう心がけてください。
雑食性で好き嫌いはほとんどなく、人工飼料をよく食べます。幼魚のうちは一般的なフレークや小粒の顆粒フードで問題ありませんが、成長に合わせて大型魚用のペレットや沈下性の大粒フードに切り替えていきます。食欲が旺盛なため、1日1〜2回、数分で食べきれる量を目安に与えましょう。 植物質の割合が高い魚で、野生下では水草や藻類、落下した植物の種子や果実などを多く食べています。スピルリナ入りの飼料や、茹でたほうれん草・レタス・ズッキーニなどの野菜を週に数回与えると、体色と調子の維持に役立ちます。冷凍赤虫やクリルなどの動物性の餌はおやつ程度に留め、与えすぎによる肥満と水質悪化に注意してください。 大食漢なので水の汚れが早く、餌の量に比例して換水の頻度も増やす必要があります。食べ残しは速やかに取り除きましょう。
性格は大きさの割に温和で、他魚を積極的に攻撃することはほとんどありません。ただし口に入るサイズの小魚はエサと認識して食べてしまうため、ネオンテトラやグッピーのような小型魚との混泳は避けてください。同程度のサイズで中層を泳ぐシルバーシャーク、大型のプレコ、ポリプテルス、オスカーやセベラムなどの中大型シクリッド、ダトニオなどと一緒に飼育されることが多い魚です。 群れで泳ぐ性質が強く、単独や2匹程度だと落ち着かず、神経質になって暴れたり餌食いが悪くなったりします。可能であれば5匹以上の群れで飼育すると本来の落ち着いた泳ぎが楽しめます。同種内での小競り合いはありますが、群れが大きければ特定の個体が執拗に追われることはほとんどありません。 非常に活発に泳ぐため、おっとりした魚や臆病な魚は餌を取り負けたり、常に動き回る姿にストレスを感じたりすることがあります。混泳相手の性格と遊泳層を考慮し、底層魚や物陰に隠れる魚と組み合わせると水槽全体がバランスよくまとまります。
ショップで売られている3〜5cmの幼魚は数年で30cm近くまで成長します。「大きくなったら水槽を買い足す」ではなく、最終的に120cm以上の水槽を用意できるかを購入前に必ず確認してください。
飛び出し事故が非常に多い魚です。フタはしっかりしたものを隙間なく設置し、配線の出口もスポンジなどで塞いでおきましょう。水槽の近くで急に動くと驚いてパニックを起こすため、落ち着いた場所に設置するのがおすすめです。
水草は柔らかい葉から順に食べ尽くされます。緑を入れたい場合はアヌビアスやミクロソリウムなどの硬い葉の種類を試すか、人工水草を使うのが現実的です。
大食漢で水を汚しやすいので、週1〜2回、全体の1/3〜1/2程度のしっかりした換水を続けましょう。ろ過が追いついていないと体表の輝きが鈍り、ヒレの赤みも薄れてきます。
飼育下での繁殖例は非常に少なく、一般家庭での繁殖はほぼ不可能と考えてください。幼魚のうちは雌雄の判別も難しいため、群れとして楽しむことを前提に迎え入れましょう。
丈夫な魚ですが、導入時の環境変化で白点病にかかることがあります。水合わせは時間をかけて丁寧に行い、導入後1〜2週間は水温を安定させて様子を見てください。