クーリーローチ
クーリーローチ
クーリーローチ
Pangio kuhlii
初心者向けコイ・ドジョウ

クーリーローチは水槽で飼育可能な熱帯魚のなかでも、特に異彩を放つ存在です。ドジョウの仲間で細長い身体と独特の模様を持ち、水槽の底をにょろにょろと泳ぐ姿はとてもユニーク。体長は8-10cm程度(最大12cm)で、体色は主に黄色っぽく、黒い縞模様が特徴の比較的派手な観賞魚です。

インドネシアやブルネイ、マレーシアなど東南アジアが原産で、池沼や森林河川、湿地など、比較的水の流れが緩やかな場所に生息する魚です。ドジョウ類らしく砂に潜って生活しています。コイ目ドジョウ科パンギオ属に分類される熱帯魚なので口ひげも特徴となっています。

ドジョウ類に共通する特徴ですが、クーリーローチも低層域をテリトリーとする生態のため、コリドラスと並んで混泳水槽では重宝する観賞魚です。日本のドジョウ類と同じく、寿命は5~10年ほどで小型の観賞魚としては長寿の部類です。

かなり飼育しやすい魚でとても丈夫ですが、臆病な性格なので、大きな物音や急に照明をつけて明るくしたりすると驚いて水槽から飛び出てしまうことがあります。また夜行性のため昼間は砂に潜っていて、夜になると活発に動き出します。

日本の観賞魚ショップでも比較的どこでも見かけるくらい豊富に市場流通している観賞魚です。価格は1匹300~500円程度と、そこまで高級魚の部類には入りません。ただ、その特徴でもある黒い縞模様には個体差があり、コレクション性が高いため、珍しい模様が出ている個体は高値がつく場合もあります。

クーリーローチとして販売されている観賞魚には、実はさまざまな種類が混ざっていることが多いです。ジャイアントクーリーローチ(Pangio myersi)はクーリーローチよりも体高があり、黒地に黄色い縞模様という感じの体色をしています。ブラッククーリーローチ(Pangio oblonga)は縦縞がなく、黒一色の体色です。ライヤーテールクーリーローチ(Vaillantella massi)は体色が褐色で、大きなフォークテールの尾ビレが特徴となっています。

飼育のコツ
  • 底砂は細かい砂を使用する(田砂推奨、潜る習性があるため。角の立っている硬い砂利では身体を傷つけたり口ひげを痛める危険がある)
  • 群泳性なので5匹以上で飼育すると活発になり美しい群泳が見られる(単独飼育には向かない)
  • 夜行性のため夜間に活発になる(夕方以降の摂餌状況を確認)
  • 水面に呼吸しに行く際に飛び出しやすいので水槽にフタを設置
  • 底面フィルターがおすすめ(低層域をテリトリーとする種のため)
  • 底砂の汚れには常に注意を払い、プロホースなどを利用して定期的に掃除する
注意事項
  • 尖った底砂(大磯砂等)で体を傷つけたり口ひげを痛めないよう注意(角が丸く粒子の細かい田砂がおすすめ)
  • 水面に呼吸しに行く際の飛び出し事故に注意(フタ必須)
  • 臆病な性格のため大きな物音や急な照明変化でストレスを受ける(驚いて水槽から飛び出すことがある)
  • 薬品に敏感なため治療時は注意が必要
  • 底砂が汚れていると白点病などの原因になるため定期的な掃除が必要
  • ソイルでは柔らかすぎて粒をつぶしてしまい、土が水槽を舞って汚れの原因となる
基本データ
体長8-10cm(最大12cm程度)
水温20-28°C
pH6.0-7.0(弱酸性)
硬度軟水
寿命5-10年
原産地東南アジア(インドネシア、ブルネイ、マレーシア、タイ)
飼育環境

水槽サイズ

45cm水槽以上(群泳のため60cm水槽推奨)

給餌

1日1-2回、沈下性の餌を中心に(コリドラス用タブレット、アカムシ、イトミミズ、人工飼料)。混泳魚が上層や中層にいる水槽の場合、浮上性の餌では行き渡らない可能性があるため沈下性タブレットタイプの餌を与える

社会性

群泳性(5匹以上推奨、複数匹で活発になる。単独飼育には向かない)

混泳

非常に温和で混泳向き、残り餌を食べるお掃除やさん。低層域をテリトリーとするためコリドラスと並んで混泳水槽で重宝する

繁殖

繁殖は困難で、家庭での自然繁殖は稀