
ディスカスは「熱帯魚の王様」と呼ばれる美しく高貴な大型種です。体長15-20cmの円盤状の体型と豊富な色彩バリエーションが特徴で、水槽内で圧倒的な存在感を放ちます。
南米アマゾン川流域のブラックウォーター(枯葉等の堆積物から成分が染み出し、茶色に染まった水)に生息し、自然界では群れで行動します。飼育下でも群泳性を発揮し、複数匹での飼育で美しい発色と自然な行動が楽しめます。
ディスカスが難しいとされる理由は、極軟水・弱酸性・高水温(26-32°C、特に幼魚は30°C前後)という特殊な水質要求があることです。また、一般的な熱帯魚用の人工餌を好まず、ディスカスハンバーグと呼ばれる牛を使った冷凍餌を与える必要があります。この餌は栄養価が高い反面、水を非常に汚しやすいため頻繁な水換えが必要になります。
繁殖時には親魚が体表から分泌する「ディスカスミルク」で稚魚を育てる特殊な子育て行動を見せ、この神秘的な行動も人気の理由の一つです。価格は一匹4,000円~数万円と高価ですが、その美しさと独特の魅力は他の魚では代替できない特別な存在です。
実際に飼育してみると意外と普通に飼えるという声も多く、適切な環境を整えれば初心者でも飼育可能です。ただし、水質管理の徹底と専用設備への投資は必須となります。
- 水質管理が最重要(極軟水・弱酸性・高水温26-32°Cの維持)
- 毎日の水換え(10-20%)で水質を安定させる
- 上部フィルターまたは外部フィルター、スポンジフィルターで強力なろ過を行う
- フレームレス水槽(オールガラス水槽)がおすすめ(重量とメンテナンス性を考慮)
- ベアタンク(底砂なし)でのシンプルなレイアウトが管理しやすい
- 水草水槽との組み合わせも可能だが、高水温に注意が必要
- 水質要求が極めて厳しく、pH6.0-6.5、極軟水、高水温の維持が必須
- ディスカスハンバーグは高栄養で水を汚しやすく、頻繁な水換えが必要
- 高価な魚のため病気や事故のリスクが高い(一匹4,000円~数万円)
- 大型になるため最低60cmワイド水槽、理想は90cm以上が必要
- 子育て中はプレコ等がディスカスミルクに反応して齧りつく危険性がある
- 幼魚と成魚で適温が異なるため(幼魚30°C、成魚26-28°C)、成長に合わせた管理が必要
水槽サイズ
最低60cmワイド水槽、理想は90cm水槽以上(高さ45cm以上、群泳には120cm水槽以上推奨)
給餌
1日3-4回、ディスカスハンバーグ(冷凍餌)、人工飼料、冷凍アカムシを少量ずつ。成魚は1日2-3回、幼魚は3-4回
社会性
群泳性(3-5匹での飼育推奨、単独では臆病になりがち)
混泳
同種または温和な魚との混泳(水質要求が厳しいため混泳は困難)。プレコやオトシンとの混泳は子育て中は避ける
繁殖
ペアリングして産卵・子育てを行う。ディスカスミルクで稚魚を育てる特殊な繁殖形態