
ベタは約1000年ほど前から品種改良が行われてきた歴史の長い観賞魚で、「闘魚」の別名でも知られています。体長5-7cmの美しいヒレと鮮やかな体色が特徴で、世界中で愛され、日本でも品評会が開催されています。
タイのメコン川流域原産のベタ・スプレンデンスから改良された品種で、まず闘うための魚「プラガット」が作られ、その色彩の美しさから鑑賞目的の「トラディショナル・ベタ」へ、さらに「ハーフムーン」や「クラウンテール」などの「ショーベタ」へと様々な品種に発展しています。近年では胸ビレが大きな「ダンボ」、大きなサイズの「ジャンボ」、鯉みたいな模様の「鯉ベタ」など品種改良の進化が進んでいます。
ベタの最大の特徴は、ラビリンス器官という特殊な呼吸器官を持つことです。この器官により、エラ呼吸だけでなく空気中からも酸素を得られるため、エアレーションなしでも飼育可能で、小さな容器でも飼育できる手軽な熱帯魚として人気があります。
別名「闘魚」と呼ばれるように闘争心が強く、オス同士を一緒の水槽に入れると、ヒレやエラを広げて激しく闘います。ショーベタは、ガラス越しや鏡を見せて定期的に威嚇させて尾を広げるトレーニング(フレアリング)を行います。メス同士も小競り合いをするので激しい場合は別々にし、オスとメスも繁殖以外のときは別々に飼育する必要があります。
繁殖時にはオスが口から出した泡で水面に泡巣を作り、メスから産み落とされた卵をオスが泡巣に運んで、孵化まで何も食べずに泡巣を守り続ける特殊な子育て行動を見せます。この神秘的な繁殖行動も人気の理由の一つです。
- ラビリンス器官で空気呼吸ができるため酸素不足に強い
- 水面で呼吸するため水槽に蓋を設置(飛び出し防止)
- オスは美しいヒレを持つが、メスは地味な体色
- 繁殖期にオスが泡巣を作る興味深い行動が観察できる
- 水温は25-27°C(適温26°C前後)で管理し、パネルヒーターか観賞魚用ヒーターを使用
- 小型容器の場合は3日に1度の水換えが必要(水量が少なく水質が悪化しやすい)
- オス同士は激しく争うため絶対に同じ水槽で飼育しない
- ヒレが長いため水流は弱めに設定する
- 水面で呼吸するため飛び出し事故に注意(蓋必須)
- 単独飼育が基本で混泳は困難
- ヒレの大きな魚を攻撃する習性があるため混泳時は注意
- メス同士も激しい場合は別々に飼育する必要がある
水槽サイズ
30cm水槽以上(単独飼育推奨、ショーベタの場合は4-5L程度の大きめの容器がおすすめ)
給餌
1日1-2回、ベタ専用フードや小粒の餌を少量ずつ。選り好みせず何でも食べる
社会性
単独飼育必須(オス同士は激しく争う、メス同士も小競り合いあり)
混泳
基本的に単独飼育、ヒレが小さなアカヒレなどとは混泳可能だが、ヒレの大きな魚を攻撃する習性がある
繁殖
泡巣産卵、オスが卵と稚魚の世話をする。産卵後はメスを別水槽に移し、稚魚が泳ぎ始めたらオス親も別水槽に移す